『ガールズ&パンツァー 劇場版』関連映画一覧など
個人メモ、把握している範囲で。なお自分は軍オタでも戦争映画マニアでもありません、一応。案外長くなってしまった。
【第二次大戦の戦争映画】
- 『1941』('79年米)
ウサギさんチーム澤梓による「ミフネ作戦、行きます!」のコール!
スピルバーグといえば、これ以後もいくつも戦争映画大作を撮っていますが、記念すべき第一作目はこのタイトル。『JAWS』のセルフパロディから始まり、「太平洋戦前夜でもハリウッドは好き勝手やってました」というようなバカ騒ぎ映画で、人死にはありませんが、それでもドイツ軍人だけはしっかり始末してるとこがスピルバーグらしいです。水島監督は、以前からこの映画好きだったぽいですが。
ミニチュア特撮の「見立て」に失敗しているという理由から、岡田斗司夫は自著でこの映画を「失敗作」と書いています。戦闘機の特撮シーンは確かに同じ構図の繰り返しでやや飽きますが、インディ・ジョーンズ的な追いかけっこなど全体にわたってドタバタで楽しい映画です。
『1941』で三船敏郎は二発大砲を撃って観覧車を回転軸から外していましたが、砲口が二つあるM3中戦車ならば一回の発射で外せる、加えて観覧車を転がすことで単に観覧車破壊だけでなく撹乱作戦になる……、というような理屈から楽しくアレンジしたと思われます。
パリ・ダカール・ラリーを題材にしたフランスのアクションコメディ(というよりギャグ映画)『ル・ブレ』('02)にも、観覧車が軸から外れて転がり(CG)、その脇でカー・チェイスをするというアクションがありますが、この映画では「転がった観覧車が横倒しになりその隙間に挟まれた人間が生き残る」というのがあります。僕は『ガルパン 劇場版』初見のときに「戦車が横倒しになるのを活かすアクションがあったら良いな」と思ったのですが、『ル・ブレ』ではそういうのをやってます。
- 『戦略大作戦』('70年米)
「リパブリック讃歌」をかき鳴らしながらオッドボール軍曹(ドナルド・サザーランド)がシャーマン戦車で駆けつけてくれる!お馴染みの戦車映画で、市街地で戦車で殴り込みをかけ、気持ち良いくらいに破壊しまくる。キャラクターの濃さとサスペンス描写。B級戦争戦争映画でこれ以上にそれぞれのキャラクターが立ってるものはないでしょう。
まんま当時のヒッピーみたいなオッドボール軍曹はじめ、全体的にだらしないならず者部隊という感じの面々を、イーストウッド一人がいい感じに締めていると思います。
同監督、同じくイーストウッドがメインで出演のナチ潜入モノ、『荒鷲の要塞』('68米)と組み合わせて見るのが良いでしょうかね。『荒鷲の要塞』はアクションの物量も随一で『戦略~』に引けを取らないし、寡黙な職業軍人が粛々と任務を遂行し敵を葬り去る、ジリジリするような鍔迫り合いのサスペンスが楽しめます。『ガルパン』劇場版のBGM「無双です!」は『荒鷲~』のテーマとフレーズやアレンジが似通ってるところがありますね。
- 『バルジ大作戦』('65年米)
ウサギさんチームの「WW2戦車モノ」その1。劇場版パンフレットにポスターのイメージがパロされた。パンツァー・リートがフルで使われる。
戦車戦は数が多く見応えあります。時代ということもありブルーバック合成や特撮を使ってるとこが多いのが今見るときついかな、とも思いますが、雪中での戦いが良いです。ただあまりお勧めはしません。
- 『レマゲン鉄橋』('69年米)
ウサギさんチームの「WW2戦車モノ」その2。TV版では「玲萬言橋」でも言及。
最近亡くなったジョン・ギラーミン監督の代表作。
キャラクターはやや薄いながら爆破アクションは多く、戦車がスピーディに走り回ったり、市街地を蹂躙したり。黄金伝説のスコア、微妙に合ってないと思うのは私だけですかね。
- 『鬼戦車T-34』('64年ソ)
ウサギさんチームの「WW2戦車モノ」その3。
ドイツ軍の捕虜にされたロシア兵が戦車T-34で脱走する映画で、人情ドラマ。
T-34は最大速度:50km、連続航続距離:300kmと非常に機動力が高いらしく、それを存分に活かし戦車が花畑、原野、市街地、と軽快に疾走します。
狙いとしては、ソ連のプロパガンダの意図が明確に透けて見えるのが難点ですが、ソ連映画的なモンタージュ・シークエンスも、戦車アクションも凝っており結構見応えがあります。キューポラがシュコっと開いて顔をだすとかディテールもいいし、また、戦車という陸戦兵器と、ロシアの自然、国民、地理的風土との奇妙な結びつきも感じられる。あとは「カチューシャ」も。
T-34が暴れ回る映画といえば『戦争のはわらた』('77年英・西独)も、戦車シーン・塹壕戦の戦闘描写が凄まじいので未見の人は是非見て欲しいです。
- 『パットン大戦車軍団』('70年米)
ウサギさんチームの「WW2戦車モノ」その4。蛸壺屋の『ゆきゆきて戦車道』でも大胆にパロディ対象にされました。
原題は"Patton"で、そのままアメリカのパットン将軍の伝記映画。海外ではむしろ歴史映画、伝記映画の大作として評価が高いです。『大戦車軍団』というB級っぽい野蛮な邦題が付けられてますがアカデミー作品賞も獲ってるA級作品。
アメリカのパットン将軍、イギリスのモンゴメリー将軍、ドイツのロンメル将軍を三つの軸として描いています。破天荒に振る舞い、常に歴史・戦争と共に生きた、パットン将軍という人のキャラクター、生き様の話。戦車戦も、アフリカ戦線の戦いとか大規模で見応えあります。
脚本を書いているのが『地獄の黙示録』('79米)のフランシス・フォード・コッポラですが、「時代の波に追われ地位や居場所が失われゆく者への目線」という意味では、『ゴッドファーザー』などとも通底するものがあるな、という感じです。
- 『遠すぎた橋』('77年英)
TV版では、4話で言及。吉田玲子氏もインタビューで言及。
イギリスのモントゴメリー将軍(本人は出ません)考案のマーケット・ガーデン作戦の映画で、多数の兵力を投じ、ドイツ側より優勢だったにもかからわず計算外の要因等により失敗に終わった作戦の顛末を描いています。
映画としては、望遠で戦車・装甲車両がワーッと一杯並んでるような画が多いですが、橋の上での攻防や、対戦車砲との戦いが見応えあります。ただ、この映画単品で見ても戦局の推移とかはかなり分かりにくいです。資料を参照するといいかも。
↓ちなみに、日本での映画公開後まもなくのころ雑誌「PANZER」('77年10月号)でもマーケット・ガーデン作戦の戦史ドキュメントが載ってました。
- 『史上最大の作戦』('62年米)
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米・英(・仏)独それぞれの視点から、連合軍によるノルマンディー上陸作戦の全貌を扱った、ドキュメント映画。『ガルパン 劇場版』では特報でのパロディを始め、プロモーション等で言及がありました。吉田玲子氏も言及。
ヴェルレーヌの詩の電報の元ネタにあたる話が出てきます。あとは大洗海岸とオマハ・ビーチ。戦車は、少しですが、チャーチル戦車やシャーマンが出てます。
典型的なアメリカの戦争映画大作といった感じですが、戦闘シーンは大規模な空撮ショットと、動員された人員の多さが見所。あとは予告でも使われてるカジノ爆破(劇場版でのKV-2のホテル撃破が似てる)など。
戦場でイギリス兵がバグパイプ吹いてたりとかも興味深いです。
- 『フューリー』('14年米)
一応ガルパンとコラボしてます。タイガー戦車の実車が出て、中盤にはシャーマン戦車との戦闘もあるという触れ込みです。
いわゆる戦車アクションとしてのケレン味やカタルシスは注意深く排除された、正統派の戦争映画です。通過儀礼を経て、新兵が戦争軍人としての振る舞いを身をつけていき、最後にはそこから離れざるを得なくなりますが、その刻印は消えないでしょう、といった。
いわゆる「家」としての戦車がコンセプトで、そのため戦車内の描写に凝っています。
- 『ヨーロッパの解放』('70-'71年ソ)
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ガルパンとコラボしてHDリマスター版が発売された、ソ連映画の連作。 独ソ戦を戦局ごとに扱った再現ドラマで、総上映時間は7時間超。国家プロジェクトとして製作された大規模なプロパガンダ。戦争映画としてはボンダルチュクの『戦争と平和』('66-'67年ソ)とかと比べそれほど評価は高くないです。
- 『アンツィオ大作戦』('68年伊)
OVA版のパンフレットでオマージュされたこれも一応関連あるといえばありますが、ロバート・ミッチャム演じる従軍記者が主人公の映画。ローマ解放を描いた映画は他にもある。
- 『地獄のバスターズ』('78年伊)
これはガルパンの一番くじの何かの版権を見て思い出しましたが、イタリアの「マカロニ・コンバット」モノの代表的な一作で、『特攻大作戦』('67年米)的に、脱走捕虜を訓練してナチスの本部に潜入し、V2ロケット運搬中の列車を襲撃するというB級アクション映画。『イングロリアス・バスターズ』でまた注目されました。
↓『地獄のバスターズ』アメリカ公開時のポスター。
機関銃乱射されてバッタバッタとドイツ兵が血を流さず倒れていく感じはB級らしいノリですが、職業軍人としての男同士の結びつきの群像劇で、列車周辺のアクションも熱いです。
戦車は全然出ないですが、元祖の方の『特攻大作戦』も癖強い役者と演出で面白いですよ!
余談として、「マカロニ・コンバット」モノの『砂漠の戦場 エル・アラメン』('69年伊)には、エル・アラメインの戦いで実際に使われたセモベンテ自走砲などイタリア戦車が登場しているらしいですが、未見。リー・ヴァン・クリーフ主演の『地獄の戦場コマンドス』('68年西独・伊・仏)とか、体張ってて面白そうなんですけどね。
- 『サハラ戦車隊』('43年米)
M3中戦車リー映画で、広大なサハラ砂漠を戦車一台で走り続ける。
戦時中に作られたアメリカ映画で、『1941』が名前をとっているルル・ベル号が出てきます。ルル・ベル号の戦車長を演じているのはハンフリー・ボガートですが、自戦車を愛馬のように扱い話しかけます。戦車での戦闘シーンはほぼないですが、アメリカ兵、イタリア兵、ドイツ兵それぞれの思惑が交差するドラマになっています。
- 『ウィンターウォー』('90年フィンランド)
対ロシアの冬戦争を扱った代表的なフィンランド映画。
- 『Tali-Ihantala 1944』('07年フィンランド)
↑の 冬戦争の継続としての「継続戦争」の、タリ=イハンタラの戦いを扱ったフィンランド映画の近作。海外版BDが入手可能。戦車はKV-1や三突、T-34が出る。
戦史好きな人の中では、フィンランドは結構定番らしいですが、どういう経路から入るんだろう…。
- 『ホワイトタイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火』('12年露)
『ガルパン』TVシリーズと同年にロシアで制作された、ドイツのタイガー戦車VSソ連戦車のアクション映画。Ⅳ号戦車等も出る(らしい)。未見。
- 『大脱走』('63年米)
「大脱走マーチ」そして、メインタイトルシーンとの関連もありますが、(実話ベースながら)多彩な濃いキャラクター、サスペンス感ある駆け引き、爽快なアクションと、'60年代戦争娯楽映画の王道。
ガルパンが意識しているらしい「戦争というシチュエーションを借り、極限状況で頑張る人たちを描く」娯楽映画という意味では、これとか『ナバロンの要塞』('61)とか『特攻大作戦』とかですね。
- 『肉弾戦車隊』('59年米)
原題"The Tanks Are Coming". ジークフリート=ラインの戦いを題材にしており、こちらは『サハラ戦車隊』と異なり対戦車戦が複数あり、パーシング等アメリカ戦車も多く登場し、面白い挙動をします。こちらでも見れます
- 『プライベート・ライアン』('98年米)
オマハ・ビーチの戦いでの、耳元を掠める銃弾など3D音響の使い方や、細かいカット割りによる主観的な戦場の表現が革新的だった『プライベート・ライアン』。『ボトムズ』ほかアニメ作品でも多く参照されており、全アニメ・映画ファン必見。音響的に指標になった(by岩浪音響監督)。
- 『バンド・オブ・ブラザーズ』('01年米・英)
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ポスタービジュアルがオマージュされる。英米共同制作のドラマシリーズ。このシリーズのドキュメント風描写を意識した(by鈴木氏)。
- 『西住戦車長傳』('39年日)
軍神として知られた西住小次郎大尉(みほのモデルですね)を題材にした菊池寛の小説の映画化で、八九式中戦車など実車が数多く登場しているようです。これに収録されてるようです。単品でのDVD発売やリバイバル上映が待たれます。
- 『ビルマの竪琴』('56年日)
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「埴生の宿」(「HOME!SWEET HOME!」)が使われてる往年の名作。これも水島監督のお気に入りでしょうか? '85年にカラー&キャストリニューアルでリメイクされてますが、どちらがより有名でしょうかね。これは白黒の方が良いんですが。
- 『ソドムの市』('75年英・仏)
広義の意味での戦争映画、風紀委員の名前の由来となる(皮肉?)。「劇場版にオマージュシーンあり」とのこと(by鈴木氏)。すごく上品に撮ったエグいモンド映画という感じなので、一般ファンにはあまり勧められません。
【第二次大戦以外の戦争映画】
戦車とひまわりとの取り合わせ。
レバノン内戦を扱った映画で、センチュリオン戦車の内部からの兵士の視点で物語が進行する。
以前、萌えミリを否定しておられる某アニメブロガーの人が、「『ガルパン』を見るくらいなら『レバノン』も同時に見ろ!」というような趣旨のことを書いていたのが忘れられない。
同じくレバノン内戦を扱ったイスラエルのアニメ映画『戦場でワルツを』('08年)は、アリ・フォルマン監督自身によるインタビュー&回想形式で戦争体験が綴られる。こちらも特殊なタッチのアニメーションだが市街地で戦車が描写されている。
- 『二百三高地』('80年日)
この映画である必要性はありませんが、日露戦争内の「203高地の戦い」を描いたエピックな再現ドラマ。お金のかかってる時代の日本映画という感じで、高地での対要塞砲の戦い、突撃し無力に命を落としていく新兵たち、泥沼の戦場が余すところなく再現されています。長い。Amazonプライムでも見れる。
監督は『トラ!トラ!トラ!』('70日・米)の山本五十六周辺のパート等にも参加し、太平洋戦争映画もいくつか手がけている舛田利雄で、わりと骨太な演出。
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これも広義の意味での戦争映画。「雪の進軍」。
- 『西部戦線異状なし』('30年米)
第一次大戦の代表的な反戦映画。「蝶に気を取られていて→撃たれる」の流れがこの映画の有名なラストシーン(塹壕)と同じ、ということなんですが、これはそう指摘するのは野暮だという感じも。ダイソーとかでDVD見かけたら買っていいと思います。
仮にそういうネタだったとしても映画ネタというよりは歴史ネタの部類な気がする。
【戦争映画以外の映画】
- 『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』('89年フィンランド)
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"Säkkijärven polkka"は実際に継続戦争中に地雷解除のため周波数を合わせて使われたとのことですが(もちろんそれは初めて知りましたが)、アキ・カウリスマキ監督のこの映画の主題歌でもあります。
"Leningrad Cowboys Go America" by Aki Kaurismäki
グラサンとリーゼントがトレードマークのロックバンド「レニングラード・カウボーイズ」が主人公の音楽&ロード・ムービーですが、北野武のギャグ映画みたいなシュールで不思議なトーンの映画で、色々なアイディアがあり楽しめます。
続編の『レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う』(’94年)も含め、「ポーリュシカ・ポーレ」や「カチューシャ」などロシア民謡の演奏シーンも多く、焚き火を囲んでのコサックダンス(?)も見れます。二作ともに、悲哀をコメディタッチで見せるユーモアがある。未見の人には勧めたい。
- 『プロジェクトA』('83年香港)
ジャッキー・チェン映画の、定番。終盤にかけてどんどんテンポを増し畳み掛けるようにカットを重ねるということで、水島監督が制作時に言及したとのこと。
加えて「いすゞジェミニ 街の遊撃手」のCMですね。これはyoutubeとかで検索してみてください。
- 『Mad Max: Fury Road』('15年豪)
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岩浪音響監督が盛んに口にする『マッドマックス』四作目。
『Fury Road』の公開時期的に、『ガルパン 劇場版』と関係があるとすれば音響などポスプロ段階に限られるかな?と思いますが、『マッドマックス』トリロジー('79-'85)は関係あるかも、水島監督アクションでの「オプティカルフロー」を感じさせるような画作りとかは、こういったところに由来するのかもしれない。
カーアクションでは、車がジャンプで川越えするアクションのあるということで、『トランザム7000』('77年米)が『ガルパンFebri』エンサイクロペディアで言及される。
- 『ブルース・ブラザース』('80年米)
『1941』と同じくダン・エイクロイド&ジョン・ベルーシ主演の奔放なミュージカル・コメディで、カー・チェイスもあり。水島監督はこの映画、お好きそうですが。
ガルパンのBGMでいうと「M4シャーマン中戦車 A GO! GO!」な感じですね。エルヴィス・プレスリーのイメージらしいですけど。
孤児院廃止を阻止するために義援金集める話なんですが、だんだん状況が悪化していく脚本と、歯止めが利かなくなるスラップスティックが見所。
- 『素晴らしきヒコーキ野郎』('65年英)
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『史上最大の作戦』のややコメディ的な部分のある英・仏パートや、『バルジ大作戦』を監督したケン・アナキンによる監督作。
フランス人、ドイツ人、イギリス人、イタリア人、日本人がそれぞれ参加し飛行機レースするコメディ映画。
- 『クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦』('99)
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原恵一監督作で、水島努は絵コンテ・演出で参加。今見ると、いい時代だなあという感じです。
これには自衛隊の戦車(スピーカー付き)や戦闘車両が多く登場し、芝生地で巨大ロボに対抗します。
水島監督が「映画」として新しく『ガールズ&パンツァー 劇場版』を制作するにあたっては、過去に監督もしくは演出として参加した、『クレヨンしんちゃん』劇場版のような活劇がプロトタイプとしてあるように思う。
この作品はアニメで特撮的なスケール・重量感を再現しているのが見所で、個人的には『地球防衛軍』のモゲラっぽいどっしりしたデザインのYUZAMEロボがわりと気に入っています。
- 『クレしんパラダイス! メイド・イン・埼玉』('99)
『爆発!温泉わくわく大決戦』と同時上映の短編で、水島監督のアニメ初監督作(映画監督としても)。カオス。
- 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』('03)
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『クレしん』劇場版シリーズの、原恵一からの交代第一弾で、デジタル初移行ということもあり、当時はわりと批判も多かったはず。遊園地での大規模なアクションがある。ジェットコースター!
全体としては水島監督のギャグ・パロディ作家としての才能が炸裂した作品で、テーマらしきものは勿論ありますが、次々とフェイズを切り替えていく漫画映画的構成で、統一感は薄く、いい感じに理屈がなくて、笑えます。
また、多彩なリアリティ・ラインを行き来し、身体感覚に訴えかけてくるようなところがあると思います。
- 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』('04)
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水島監督による『クレしん』映画第二弾で、 西部劇をモチーフにしたループ作品であり、メタ映画。水島監督にとって映画とはこういうものであろうか、とも考えられます。
そういえば、『ヘンダーランド』 のス・ノーマン的な巨大雪だるまも劇場版に出てましたよね。
- 『戦艦バウンティ号の叛乱』('35年米)
- 『戦艦ポチョムキン』('25年ソ)
- 『ケイン号の叛乱』('54年米)
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歴女チームが言及した、艦船で反乱を起こす系の映画繋がり(おそらく)の三作。小ネタ集。映画としては記念碑的作品『ポチョムキン』を見とけば、良いですかね…。クレイマーの『ケイン号』もメインタイトルとかかっこいいですけどね。
- 『荒野の七人』('60年米)
『七人の侍』翻案のアメリカのスター集結の西部劇。『夕陽のカスカベボーイズ』の元ネタの一つにもなっている。「黄金伝説」『大脱走』と同じくエルマー・バーンスタインの手がけたこの映画のメインテーマが劇場版でオマージュされた(?)ようです。
- 『夕陽のガンマン』('65年伊)
マカロニ・ウエスタンというところだと、代表的なレオーネ&イーストウッド映画で、決闘シーンも白眉。『夕陽のカスカベボーイズ』で意識されてる西部劇の一つでもあります(おそらく)。
遊園地のウエスタンランド(?)のところでは、この映画のモリコーネのスコアっぽいBGMが使われていたような…。水島監督もそういうのお好きそうで。なお『戦略大作戦』の西部劇っぽいシーンのパロディ元になっていたのは 『続・夕陽のガンマン』('66年伊)ですね。
数々の名戦車映画へのオマージュと戦車愛が炸裂! 戦車が戦車として戦う魅力に溢れた『ガルパン』
アニメ音楽丸かじり(170)水島努監督の巧みな音楽用法が光る『ガールズ&パンツァー』劇場版サントラ | WEBアニメスタイル
(BGMの「Home!Sweet Home!」は『ビルマの竪琴』からだろうけど、木下恵介監督版 『二十四の瞳』('54年)でも少し使われてるので、シチュエーション的にそれもあるかもしれないと思う。原恵一『はじまりのみち』('14)繋がりもあるし)
まあこういう推測とかは、後々コメンタリーとか色々なメディアで明かされたり明かされなかったりするでしょうからね。
自分からは以上です!