highland's diary

一年で12記事目標にします。

2016年秋アニメ、第一話段階での時評

たまには普通にアニメファンぽい記事でも。一応見たものについて書いていきます。☆のついてるのは個人的に期待しているタイトル。

 

・ViVid Strike!

そこそこ面白かった。『なのは』シリーズながら、タイトルに「なのは」が付かないのが良いですね。西村監督のハーモニー演出の使い方としてはここ5年くらいで一番良かったかも。

 

・終末のイゼッタ☆

藤森雅也さんといえば、今や亜細亜堂を背負って立つベテランアニメーター&演出家ですね。

監督作『おまえうまそうだな』(2010)もそうですが、『忍たま劇場版』(2011)の重厚な作りに驚いた人も多いはず。
1話は終盤のアクションもそうだけど、電車内でののびやかで丁寧な芝居にも目が止まりました。
あとはシリーズ構成:吉野さんの腕次第かもしれません。

 

ステラのまほう

原作の四コマは『NEW GAME!』というよりは、『GA 芸術科アートデザインクラス』に近い。
アトリエブーカの美術と、キャラクターのトーンがマッチして画面全体の統一感が出ているのが良いです。
背景の色彩がペールトーンならキャラもペールトーンで調整したり、撮影で照明を合わせたりしていて、とても見やすい気がする。
四コマ原作らしく、イメージBG風の画面も上手い。
マンガっぽいキャラに小澤亜李さんの生っぽい声、というのは個人的にツボです。

 

夏目友人帳・伍

大森監督が総監督に移行し監督が交代しましたが、安定して面白い。話は毎度のこと、ややあざといけどこれくらいが丁度いい。

 

灼熱の卓球娘

制作スタッフメンバーを見るにつき、
「入江泰浩」(シズル感あるアクションもの)+「かおり×キネシス」(日常系・百合)+「倉田秀之」(スポコン、あるいは熱量のあるドラマ)
で良いとこ取りのような座組みか?と思ってましたが、それら諸要素が想定していた以上に統御されていた1話でした。期待できると思います。

 

・Lostorage incited WIXOSS

桜美かつしさんに監督交代し、キャラクターデザインもそれに合わせ、よりリアリスティックに。(サトタク監督による)中村隆太郎さんぽいホラーから、主人公の気持ちに重心を置いたドラマになっています。「脱落したくない」という恐怖心から、「記憶を失いたくない」という想いに比重が移っていますね。前作シリーズから引き継がれた演出的な要素も多いですが、全体に桜美かつしさんの純度が高いフィルムに思えます。ファンとしては期待大です。

 

響け!ユーフォニアム2 ☆

1話では久美子が走った橋など前作の舞台を辿ってシリーズのおさらいをしながら、前作で固定化したかに見えていたキャラクターの関係図を少しずつずらしてくる。山田さんの介入が少ないのか、一期一話に見られたような過剰な撮影や自意識は希薄だった。けれども、期待値は高い。

 

・三月のライオン

幸腹グラフィティでの批判(↓)を反映してか、川本家の美術がシャフトらしからぬ温かみのある手描きタッチですね。

 第一話でいうと、これは普通に主人公の自宅との対比ですよね。

出来は素晴らしいと思うけれど、「原作のセリフを一位一句変えない」体制でのアニメ化はやはり限界を感じるのも事実です。
というのも、シリーズ構成の編成を見るに物語シリーズなどと同じ方式なのかな、と思うのですが。
羽海野チカさんの原作というのは、書き文字などの情報量が凄く多いページと、映画的なカット割りのページの両方がありますよね。(物語シリーズのように)原作のモノローグを台詞として使い倒す体制だと、前者のシーンがテンポ悪く、タルくなってしまわないかな、というのが不安です*1

既に1話でもそういう感じはちょっとしたのですけれど。
あとオトマトぺにいちいちSE付けるのはやめた方が良いと思う。絶望先生じゃないのだし。

 

・ガーリッシュナンバー 

面白かった。この原作者の露悪的な方向性をこういう風に振るのは当然反発も大きいでしょうけど。
散々言われてるでしょうけど、劇中作の主題歌のライブ公演を初回のオープニング曲として持ってくるというのは天才的だなという感じです。このオープニングシーンでもって、このアニメがどういうものになるかの宣言をしているのが良い。
とにかく大きなポテンシャルを持っている作品だと思います。とはいえ、今後の展開を聞くにつき、ちょっと微妙な気もしますが。

 

・フリップフラッパーズ

EDの作曲が七瀬光さんだったり、正統派のファンタジーという感じです。
押山さんの初監督作ということで、もちろんのこと作画コネが豊富。
tanuさんのカラフルポップな世界観が原案で、各話で美術の方向性もチェンジするらしいということで、『ローリング☆ガールズ』をやはり思い出します。
『ロリガ』は、作り手の熱量を感じるものではありましたが、画面全体が非常にごちゃごちゃしていて情報量を制御できていないな、と感じていた面があります。
それに比べると、『フリフラ』のデザインは美術含めだいぶ見やすくなっていますね。
二話以降についてはむしろお話の方が不安です。
百合好きでお馴染みの綾奈ゆにこさんがシリーズ構成のオリジナルで、自分的には特に綾奈ゆにこさんにはプラス評価もマイナス評価もしてないので別に思うところはないのですけど、仮に「作画が凄く良いだけの百合アニメ」になってしまったら勿体ないな、と思います。だから、何か大きな仕掛けがあることを期待します。

 

・ブレイブウィッチーズ

1話は凄く綺麗な話でしたよね。やや台詞がくどいのを除けば、ある意味理想形といえます。扶桑国のウィッチの様子が詳しく描かれるのは、アニメ版でこれまでなかったかも。出征先で主人公の姉の扱いはどうなるのかな?というのが気になる。

 

魔法少女育成計画

デスマッチサバイバルゲーム魔法少女もの。
この系統の作品だと、今はどうしても『まど☆マギ』や『龍騎』を引き合いに出して語られがちですよね。
ごちうさ』の監督と聞いていたけれど、この世界観のファンシーな部分だけでなく硬質なところも出ていてそれほど心配はなさそう。
ちょっとロマンチックなところのある1話で良かった。

どうでもいいけど個人的には『アンチ・マジカル 〜魔法少女禁止法〜』の方をアニメで見たかった。

アンチ・マジカル ~魔法少女禁止法~ (一迅社文庫)

アンチ・マジカル ~魔法少女禁止法~ (一迅社文庫)

 

 

 『ウォッチメン』の設定の「アメコミヒーロー」をそのまま「魔法少女」に置き換えたようなアウトロー魔法少女もの。

最初の刊行は2010年で、『まど☆マギ』より前の作品ながら、明確に「魔法少女」ジャンルへの批評的精神を持った作品。

魔法少女禁止法』の方が「映像化して見応えのある」という意味ではやや軍配が上がると思う。24歳になってボロボロになった魔法少女とか見たくないですか?

 

Occultic;Nine -オカルティック・ナイン- ☆

予告PVを見るにつき、やたらとアップショットでカット切り替えが多かったので、本編の映像はさいわい予測範囲内。

5pbでゲーム新作を出す代わりに、スタイリッシュな映像で固めたオリジナルアニメを打って出すということでしょうか。
1話を見ると、10人以上の多人数の視点からのストーリーがリアルタイムで進行していて、新城カズマ15×24』を何となく想起しました。

 外連味ある広角レンズのレイアウトを多用し、主人公の早口の長台詞進行によりグルーブ感を出していく。この感じは嫌いじゃないです。ですが、2話以降もずっとこれだとキツイなという感じですね。さすがに1話でだけでしょうけど。

「マスターショットを設定しておきさえすれば、後はどこにカメラを置いても良い」というような感じで、一度ロングで全体図を見せて以後はアングルもフレームサイズもぽんぽん切り替えていく。そしてそのマスターショットですら一種類に固定してはおかない。

カオスヘッド』『シュタインズゲート』の主人公も大概感情移入しづらい人物でしたが、『オカルティックナイン』はそれに輪をかけて感情移入できる人物がいない。視聴者の気持ちの置き所が見事にどこにも無い第一話。もっとも、これはそういうものとして作っているはずなので特に問題はないでしょう。

あと手描きタッチを取り入れたような、主線の太さが変わるキャラ作画だったりが気になる。

 

・はがねオーケストラ

5分枠。太田雅彦組。コメディをやる限りは信用のおける。

奇異太郎少年の妖怪絵日記

5分枠。キャラデ:今岡律之さん。内容はよく分からない。

信長の忍び

5分枠。 大地丙太郎監督。いつもながら間の取り方に注目というところ。

バーナード嬢曰く。

あまり上手く行ってない1話だと思う。主人公の立ち位置やキャラクター・世界観について理解させる前から早口語りしても、原作未読の視聴者とかは着いて行けないでしょう。

 

あとは『マジきゅん!ルネッサンス』『ユーリ!on ICE』『舟を編む』『装神少女まとい』『ドリフターズあたりですかね、今季は。『ハイキュー』の新シーズンや『レガリア』の継続もありますが。

これらの作品も、それぞれ注目ということで。

ステラのまほう 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

ステラのまほう 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

 

 

*1:これに関してはやっぱ『会長はメイド様!』方式が一つの理想という気がする。