highland's diary

一年で12記事目標にします。

2019-01-01から1年間の記事一覧

アニメOPに見る画面の立体感とテロップの表現

今回は純粋に視覚的な事柄について書きます。季節外れな話題になってしまいますが、ご容赦ください。 最近アニメのOPテロップについて色々と調べているのですが、その中で思い当たったのが『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(2013)のOP。古い…

劇場OVA『フラグタイム』(2019)感想

同じく劇場OVAとして公開された『あさがおと加瀬さん』に続き佐藤卓哉さんが監督を手掛け、『加瀬さん』は新書館の百合レーベルより刊行された漫画が原作でしたが、今回は純粋な百合レーベルではない、秋田書店の少年誌レーベルより刊行された漫画が原作の作…

’10年代のTVアニメ各年ベストを決めよう

2010年代ももう終わりに近づいているので、’10年代のTVシリーズのアニメ*1からベスト10を選ぶ恒例の企画をやろうと思いました。 その際、全期間全作の中から10作選ぶのではなく、各年でベスト1を1作品ずつ選出しようと決めていました。いわゆる「’10年代ベス…

キング・ヴィダー『群衆』(1928)

世界名作映画全集100 群衆 [DVD] 出版社/メーカー: GPミュージアムソフト 発売日: 2006/05/25 メディア: DVD クリック: 3回 この商品を含むブログ (2件) を見る アニメとはほぼ全く関係ない話題ですが、『群衆』の話をしようと思います。 ※この記事は作品に…

映画『空の青さを知る人よ』(2019)雑感

・ファーストショット、画と言うよりくしゃみの「音」から映画が始まる(くしゃみのアップから全身のロングへの切り替え)。目を閉じてのベースの演奏に入れ込ませて他キャラの動作(ドアの開閉ショット等)、過去の回想カット、と音で繋いでいく(ライブシ…

三本の指輪と拳銃、チョーカー、赤いリボン

アイテムを活用した演出という観点から『天気の子』を整理してみたい。なお全て記憶で書いているので間違った記述があった場合は訂正します。 まず、『天気の子』で一番目立って使われたアイテムとしては一つは拳銃だろう。 拳銃 東京をさまよっていた帆高は…

『天気の子』(2019)初見時メモ

※ネタバレ有。 ・出のショットは雨降る東京の空模様、街並みの全景からのクレーン降下、そしてモーションコントロールカメラのようなトラックバックからの窓ガラス打ち抜き、ヒロインの横顔が窓ガラスに反射した鏡像→実像を順に映す。ヒロインの登場シーンが…

『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』の海外受容について

金曜ロードショーで『未来のミライ』に続き『サマー・ウォーズ』が放映されるとのことで、細田守作品について以前より気になっていることについて書こうと思います。 『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』について まずは本作についての客観的…

『ヤミと帽子と本の旅人』と『セラフィムコール』

※この記事は両作品についてのネタバレを含みます。 数週間ほど前に、百合アニメ『ヤミと帽子と本の旅人』('03)を再見する機会があった。16歳の誕生日に突如として異世界に消えてしまった姉・初美を探し求め、「図書館世界」の管理人・リリスと共にさまざま…

OVA版『YU-NO』('98~'99) を見てみる

anime.dmkt-sp.jp 単純にマルチエンディングのADVゲームを線的なストーリーで進行するアニメに翻案することの難しさについては京アニや東映によるKey作品の映像化といった卑近な例を見てもその苦労の跡が見えるのであって、また、『この世の果てで恋を唄う少…

映画『バースデー・ワンダーランド』(2019)感想メモ

※基本的にダメ出ししてます注意。 ファーストショットから人物不在のBG6連続、そこからパンアップするカメラ、主人公の登場、「空が青すぎて溺れそうになる…」とビートルズの歌詞のようなセリフを言う。続く場面での料理表現の異様な力の入りよう、そしてブ…

『響け!ユーフォニアム』の演出における位置関係の設計~第5話と第8話を例に~

数年前に「『響け!ユーフォニアム』演出総解説」という同人誌に参加しまして、『ユーフォニアム』一期の全13話から、ハイライト場面を11シーンセレクトし、それぞれのシーンについて全カットを解説していくというものでした。私はメンバーの一人として、主…

TVアニメ『彼氏彼女の事情』の演出について――セレクティブ・アニメーションの美学

以下に掲載するのは5年ほど前に、批評誌のアニメルカ特別号『反=アニメ批評 2014summer』に私が寄稿させていただいた、TVアニメ『彼氏彼女の事情』についての文章の全文です。 highland.hatenablog.com 『彼氏彼女の事情』のBD-BOXが先ごろ発売されたので、…

好き/嫌いに対する私の立場

未だに、自分の好きな作品を貶されると死ぬほどムカつくし、自分にとって何の価値も見いだせない/あるいは嫌いなものが褒められているとイライラしてしまう。こればかりは本当に成長しない。 本当はそのような状態からは脱した方が良いのかもしれないけれど…

『バトルアスリーテス 大運動会』5話のちょっとした技巧

昨年も記事で取り上げた作品だけれど、『バトルアスリーテス大運動会』(TV)5話にこれは!と思う描写があったので書いておきたい。なお展開は割とネタバレしてます。 『バトルアスリーテス大運動会』(TV版)のあらすじについて一応述べておくと、 西暦4999…